早漏について調べる中でよく登場する「PC筋」。
オナニーで鍛えられるという誤解がまれにありますが、それは間違いです。
むしろ間違ったオナニーが原因でさらなるトラブルを引き起こす可能性もあります。
今回の記事では、PC筋をオナニーで鍛えられない理由と、正しい鍛え方について説明していきます。
PC筋とは|排尿や勃起時に使う筋肉
まずPC筋とはなにか、という点についてご説明します。
人の骨盤付近には、内臓を支える「骨盤底筋(群)」という筋肉群があり、その中にさらに「肛門挙筋」という筋肉群があります。
肛門挙筋は、①恥骨尾骨筋(PC筋)②恥骨直腸筋③腸骨尾骨筋の3つで構成されています。
つまりPC筋は、骨盤底筋を構成する一筋肉の名称です。
PC筋の3つの役割
PC筋をはじめとした骨盤底筋には、以下の3つの役割があると言われています。
- 排尿を我慢する
- 射精のタイミングをコントロール
- 勃起状態を維持する
排尿を我慢する
1つ目の役割は、排尿を我慢すること。
メカニズムはまだ詳しく分かっていませんが、
・筋肉によって直腸・尿道を吊り上げ、排尿を我慢
・肛門挙筋全体で前立腺・直腸・尿道を包み、尿が漏れないようにしている
などの説が有力です。
射精のタイミングをコントロール
2つ目の役割は、射精のタイミングをコントロールすること。
骨盤底筋の収縮がポンプのような役割を果たし、射精の動きを補助しています。
こちらもまだ詳しいメカニズムは解明されていないのですが、骨盤底筋が過剰に緊張しているまたは緩んでいると射精のコントロールが難しくなると言われています。
必要なタイミングで適度に引き締めることができるようになれば、射精のタイミングをコントロールできるようになります。
勃起状態を維持する
3つ目の役割は、勃起状態を維持すること。
まず勃起とは、男性器内の「陰茎海綿体」というところに大量の血が流れ込み、血によって陰茎海綿体がふくらむことで起こります。
骨盤底筋で陰茎海綿体の根本を圧迫させることでさらに固くなり、また血が漏れるのを防ぐことで勃起状態が維持できると考えられています。
PC筋が弱る理由
PC筋をはじめとした骨盤底筋が弱ると、排尿や射精のタイミングをコントロールできなくなり、尿漏れや早漏の原因となります。
PC筋をはじめとした骨盤底筋が弱るのには、主に「加齢」「運動不足」の2つの理由があります。
加齢
身体の筋肉量は30代前後にピークを迎え、以降は徐々に減少していきます。
骨盤底筋も筋肉ですので、他の筋肉と同様衰えていきます。
歳をとると尿漏れを起こしやすくなるのはこれが原因です。
運動不足
他の筋肉と同様、鍛えなければ当然弱ります。
まだ若い人でも、デスクワークなどで運動不足の自覚がある方は要注意です。
鍛え方はこの後ご説明しますのでぜひ参考にしてみてください。
寸止めオナニー=PC筋トレという誤解
まれに寸止めオナニーでPC筋が鍛えられると思われる方がいますが、それは間違い!
むしろ身体を傷つける危険性すらあります。
引き締めるトレーニングを我慢と勘違い
後ほど詳しく解説しますが、PC筋を鍛えるためには意識的に筋肉を緩めたり引き締めたりさせるトレーニングを行います。
寸止めオナニー=PC筋トレという勘違いは、この引き締める動き=直前で射精を我慢する動き(寸止め)という誤解からきていると考えられます。
やりすぎはむしろ男性器にダメージあり
寸止めオナニーはPC筋を鍛えられないばかりか、繰り返すことで以下のようなリスクを背負う可能性があります。
- 精液の逆流によって尿路や前立腺に炎症が起き膀胱炎や精巣炎を引き起こす
- 寸止めの快感に慣れて通常の性的刺激では満足できなくなる
もし頻繁にやっている場合は控えることをおすすめします。
また、足を伸ばしてPC筋を締め射精する通称「足ピンオナニー」というやり方もありますが、次第に足を伸ばさないと射精できない身体になり、性行為時に射精できなくなってしまうため注意が必要です。
PC筋を鍛えるには「ケーゲル体操」
正しくPC筋を鍛えるには「ケーゲル体操」を行ってみましょう。
やり方はとっても簡単。
PC筋を意識しながらお尻の穴を締める→緩めるをくり返すだけ。
具体的なやり方は以下の通りです。
- 仰向けになり膝を立てる
- 息を吐きながらお尻の穴を5秒間締める
- 息を吸いながらお尻の穴の力を抜く
- これを10回、1日3セット程度行う
- 開始から1~2か月ほどで効果が表れます
「PC筋の場所が分からない」という人は、一度排尿を止めてみてください。
止める時に力が入った筋肉がPC筋です。
※何度も行うと尿路に負担がかかるため要注意
また、「仰向けになり膝を立てる」という姿勢は、ケーゲル体操の基本的な姿勢です。
慣れてきたら、椅子に座りながらでも立ちながらでもできるようになりますので、場所や時間を問わず気づいたタイミングでやってみるようにしてください。
鍛える際の注意点
正しい姿勢で行う
先ほどお伝えした通り、正しい姿勢は「仰向けになり膝を立てる」です。
腰を浮かせてブリッジ状態になった姿勢は間違っているので要注意。
お腹や太ももなど他の部位に力が入っているとPC筋が上手く鍛えられません。
また、猫背の状態でも上手くPC筋に力が入りません。
座ったり立ったりしながら行う場合は、背筋を伸ばすことを意識してください。
痛くなったらすぐ止める
痛みを感じた場合はすぐに中止してください。
やりすぎで筋肉が疲労しているという場合は、時間を空けてから再開しましょう。
お腹や太ももなど他の部位が痛いという場合は、やり方が間違っている可能性があります。
また、息を止めて行うと血圧が上がり、筋肉や心臓に余計な負担がかかりやすくなります。
もし上手く息ができていなかったという自覚がある場合は、意識的に呼吸を整えて再開してください。
正しくPC筋を鍛えて男性器の機能を向上させよう
PC筋が弱ると早漏や尿漏れの原因となる場合があります。
オナニーではPC筋は鍛えられないため、鍛える場合は「ケーゲル体操」を行いましょう。
正しい方法で行わないと上手く鍛えられないため、最初は筋肉の動きをしっかり確認しながら行うのが大切です。
ケーゲル体操は、慣れればいつでもどこでも取り入れられるトレーニング。
正しい方法で続けて、早漏改善を目指しましょう!
この記事の参考サイト
Muscles of the pelvic floor:KENHUB
前立腺周囲の骨盤底筋群の機能【直腸尿道筋は骨盤内臓器を結合し集約する重要な場所であり,手術では極力この結合を破壊しないことが尿禁制の維持に最も重要】:日本医事新報社
勃起の筋トレ 骨盤底筋トレーニングで勃起力を改善させよう:TENGA
トレーニング方法:TENGA
骨盤底筋トレーニングで早漏を改善しよう:TENGA
Kegel Exercises:NIH




