男女問わず悩まされる薄毛問題。
病院での治療や生活習慣の改善等は有名なためすでにやっている方も多いかもしれませんが、「ヘアタトゥー」という選択肢を考えたことはありますか?
今回は、女性の薄毛悩みにも寄り添うヘアタトゥーについて解説していきます。
ヘアタトゥーとは「頭皮に描く髪の模様」
タトゥーは知っているけど、ヘアタトゥーって何?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ヘアタトゥーとは、頭皮に針で色素を注入し、髪が生えているかのように見せるタトゥーのこと。
通常のタトゥーのようにおしゃれ目的ではなく、薄毛対策として行われるのが特徴です。
また、おしゃれ目的のタトゥーと違い、ヘアタトゥーはより完成度を高めるために複数回に分けて施術するのが基本。
金額は、部位や施術場所によって異なりますが、大体以下が相場です。
※1~2回の施術の合計金額
部位 | 金額 |
---|---|
小さな一か所 | 約5万円~ |
おでこの生え際全体 | 約15万円~ |
分け目 | 約15万円~ |
メリット
ヘアタトゥーのメリットは、その即効性。
治療や生活習慣の改善は、効果が出るまでに最低2~3か月はかかります。今すぐ薄毛を隠したいのにそれじゃ意味がない!と悩む人もいるでしょう。
その点ヘアタトゥーは、タトゥーを入れたその瞬間から髪が生えたような見た目になるため、治療を進めながら、効果が出るまでの間はヘアタトゥーで隠す…という使い方もできます。
デメリット
デメリットは、持続性の低さです。
ヘアタトゥーは、およそ2~3年で色が薄まってしまいます。
そのため、定期的なメンテナンスが必要です。
先ほどお伝えしたような、「治療の効果が出るまでの間」だけ使用する目的であれば問題ありませんが、タトゥーを入れれば今後一生薄毛に悩まなくて良いはず!と考えている人は要注意です。
施術内容に男女の違いはない
性別による施術内容の違いは基本的にありません。
大まかに以下の手順で施術が行われます。
- カウンセリングで気になる薄毛の部位を確認
- 診察で頭皮の状態を確認
- デザインを話し合う
- アレルギー検査・パッチテスト等
- 施術
ただし女性は、広範囲の薄毛の場合施術が難しいという特徴があります。
技術的に施術ができないというわけではありません。
ヘアタトゥーは毛を生やすものではなく、あくまで点を描いて髪っぽく見せているというだけ。
男性であれば、坊主にすることで広範囲の施術でも自然に見せることができますが、女性はそうはいかないですよね。
そのため、広範囲の薄毛に悩んでいる女性は施術が難しいという判断になります。
ヘアタトゥーに向いてる人・向いてない人
ヘアタトゥーは誰でもできる施術ではありません。
残念ながら、できない人も存在します。
施術を検討している方も一旦、自分はできるのかどうかをチェックしてみてください。
ヘアタトゥーに向いてる人
まずは、ヘアタトゥーに向いている人の特徴をご紹介します!
- ハゲてる範囲が狭い人
- FAGA治療ができない人
- 今すぐに薄毛を隠したい人
ハゲてる範囲が狭い人
一部分だけハゲているからサクッと隠したい、という人にはおすすめです。
小さい範囲であれば自然に隠せますし料金も安く済みます。
このくらいのハゲで治療を始めるのはちょっと…という方はぜひ検討してみてください。
FAGA治療ができない人
女性の薄毛悩みの理由に、FAGA(女性男性型脱毛症)という病気があります。
ホルモンが原因で髪が弱り抜けていく病気です。
そのため生活習慣等をいくら変えても改善せず、ミノキシジルという薬の使用等で治療を行う必要があるのですが、中にはその薬が使えない人がいます。
-
ミノキシジルが使用できない人
- 20歳以下のこども
- 酷い副作用やアレルギーを発症する人
- 高血圧・低血圧の人
- 心臓に疾患を持っている人
上記のようにFAGA治療ができない人は、ヘアタトゥーで薄毛を隠すのがおすすめです。
今すぐに薄毛を隠したい人
冒頭でお伝えした通り、治療を始めたとしても効果が出るまでに最低2~3か月はかかります。
薄毛治療はするけれど取り急ぎ今すぐどうにか隠したい、という方にとって、ヘアタトゥーはおすすめの選択肢といえます。
ヘアタトゥーに向いてない人
続いて、残念ながらヘアタトゥーができない人の特徴についてご紹介します。
もし以下に当てはまるようであれば、ヘアタトゥーの選択肢は見送った方が良いでしょう。
- 広範囲でハゲている人
- 妊娠中・授乳中の人
- 肌が弱い人・炎症を起こしてる人
- アレルギー体質の人
- 高頻度で病院に通っている人
- 金銭面で余裕がない人
広範囲でハゲている人
ヘアタトゥーは点を描いて髪のように見せる技術。
つまりその部分だけ坊主のような見た目になります。
男性であれば頭部全体を剃って坊主にすれば良いですが、女性の場合はそうはいきません。
広範囲の薄毛に悩んでいる女性は、ヘアタトゥーではどうしても自然に見せられないのが現実です。
妊娠中・授乳中の人
タトゥーは、皮膚に針を刺してインクを体内に注入するため、そこから細菌が入り感染症になる可能性があります。
妊娠中の人は、ホルモンバランスの乱れや免疫力の低下で身体が不安定な状態になっているため、より感染症のリスクがあがります。
また、母体や母乳を通して赤ちゃんに悪い影響が及ぶ可能性もあるため、妊娠中・授乳中の人は一旦控えた方が良いでしょう。
肌が弱い人・炎症を起こしてる人
肌が弱っている状態の人は、タトゥーをすることで、症状の悪化や合併症を引き起こす可能性があります。
もし入れたい場合は、事前に皮膚科医に相談するのがおすすめです。
アレルギー体質の人
黒いタトゥーインクの多くはカーボンブラック(炭素粒子)で作られていますが、まれに鉄やニッケルが入ったインクも存在します。
その場合、金属アレルギーの人はアレルギー症状を発症する危険性があります。
事前にインクの成分を聞いて、自分でも使えるインクかを確認することが必要です。
高頻度で病院に通っている人
金属(鉄やニッケル)が含まれるインクを使用した場合、まれにMRI検査で反応して施術部位を火傷する危険性があります。
基本は問題ないのですが、もし頻繁に病院に通っており不安という方は念のためやめておいた方が良いでしょう。
金銭面で余裕がない人
ヘアタトゥーは最低でも約5万円程かかります。
その金額だけ見れば安く感じますが、今後ずっと定期的なメンテナンスが必要になることを考えると、費用はもっともっと増えていきます。
ヘアタトゥーは美容目的の施術であるため保険は適用されません。
一時的に入れるだけなら良いですが、今後何年も継続して入れる予定であれば、一旦ご自分のお財布と相談してからの方が良いかもしれません。
施術場所の選び方と注意点
ヘアタトゥーをするぞ!となった場合、どこに行けばやってもらえるのでしょうか。
また、失敗しないために注意することはあるのでしょうか。
次は、施術場所の種類と選び方、施術時の注意点について解説していきます。
施術場所の選び方
医療機関(病院・クリニック)
ヘアタトゥーをするなら、病院やクリニックといった医療機関に行くのが最も安心安全でおすすめ。
施術前にはしっかりカウンセリングが行われ、アレルギー検査やパッチテストも受けることができます。
医師免許をもった人が施術してくれること、衛生管理が徹底されていることも嬉しいポイントです。
医療機関で施術したい方は、普通の皮膚科ではなく、AGA・FAGAの専門クリニックや美容皮膚科を受診してください。
タトゥースタジオ
タトゥースタジオとは、いわゆる「彫師」が在籍する、タトゥー専門施設のこと。
彫師は長年タトゥー一筋で施術を行ってきたいわば「タトゥーのプロ」であるため、デザイン性の高いヘアタトゥーを入れたいという方に向いている選択肢です。
ただし、彫師は特に資格が必要な職業ではないため、衛生管理等は病院より劣る可能性があります。
また、本業はおしゃれ目的のタトゥーであるため、薄毛対策のヘアタトゥーはその技術を応用しているに過ぎません。
また、今後のヘアタトゥーの扱われ方によっては、タトゥースタジオでの施術ができなくなる可能性があるのに注意が必要です。
二転三転ありつつ結果的に「違法ではない」という判決が言い渡されたのですが、令和5年7月に厚生労働省は追加で見解を出しています。
「眉毛・アイラインをタトゥーとして入れるアートメイクは医行為に当たるため、医師免許を持っていない人が施術するのは違法」
という内容です。
現状ヘアタトゥーについての明記がないため、もしかしたら今後タトゥースタジオでの施術は違法となる可能性もあります。
サロン
サロンは、髪やネイル等の美容を目的にした施設。
中にはSMP(ヘアタトゥー)専門サロンもあります。
場所によって異なりますが、タトゥースタジオよりも衛生管理がしっかりしていたり、医療機関よりも安価に施術できたりすることがあります。
タトゥースタジオ同様、今後のヘアタトゥーの扱われ方によって、サロンでの施術はできなくなる可能性がありますので注意してください。
注意点
ヘアタトゥーを入れたらそれで終わり、ではありません。
もし施術後に以下のことをした場合、色が落ちたり傷ができて感染症にかかる恐れがあります。
少なくとも施術後1週間は以下のことに注意してください。
- 掻く・擦る
(傷になって感染症の危険性) - 長時間の入浴・強いシャワー
(色落ちの可能性) - 汗をかく
(色落ちの可能性) - 飲酒
(色落ちの可能性)
ヘアタトゥーができない場合の代替案
今すぐ薄毛を隠したいのでヘアタトゥーができない…という方。
代わりに、今すぐ薄毛を隠せる代替案を3つご紹介しますので、どうかまだ諦めないでください!
- エクステやウィッグの使用
- 髪型の工夫
- 薄毛パウダー等の使用
エクステやウィッグの使用
エクステやウィッグを使うことで、薄毛部分をふんわり覆い隠すことができます。
エクステはウィッグと違い自分の髪を常にひっぱる形になるため、髪に負担がかかり薄毛が進行する恐れもあります。
使用する際はなるべく短く軽いものを、短時間だけつけるようにしてください。
ウィッグは、頭全体を隠す大きいサイズと、一部分だけ隠す小さいサイズがあります。
価格相場は種類によって非常に幅広く、1万円~30万円するものも。
髪型の工夫
髪型を工夫するだけでも薄毛を隠すことができます。
例えば、おでこの生え際が気になる人は、薄さを活かしてシースルーバングにしたり、逆に横髪を分厚くして隠したり。
つむじ周りが薄い人はパーマをかけたりお団子ヘアで隠したりもおすすめです。
場合によっては分け目を変えるだけでも十分隠せますのでぜひやってみてください。
薄毛パウダー等の使用
薄毛パウダー(ヘアファンデーション)とは、髪の毛に黒いパウダーをまとわせて髪の毛を太く見せる商品のこと。
気になる部分に付けるだけで、短時間かつ簡単に薄毛を目立たなくしてくれます。
安いもので大体3,000円程度から購入できるため気軽に手が出しやすいのも嬉しいポイント。
汗や雨で濡れると落ちやすいので気を付けてください。
隠すだけじゃなく根本的な薄毛治療が大事
ヘアタトゥーやウィッグで薄毛を隠すのは、あくまでも応急処置。
これ以上薄毛に悩まされたくないのであれば、根本的な薄毛治療を始めることが大事です。
女性に多い薄毛の原因3つの治療についてお伝えしていきます。
FAGA治療
FAGA(女性男性型脱毛症)は、女性ホルモンが減少し相対的に男性ホルモンが多くなることが原因で起きる脱毛症。
多くの場合頭頂部から薄くなっていくのが特徴です。
治療には、主にミノキシジルという塗り薬を使用します。
月5,000~10,000円で購入でき、1日2回塗布。約3~6か月で効果が見られます。
びまん性脱毛症治療
びまん性脱毛症は、FAGA同様ホルモンバランスの乱れが原因で発症する脱毛症のこと。
全体的に徐々に髪が薄くなっていきます。
ミノキシジルの他、パントガールという薬を使っての治療が主です。
月7,000~9,000円で購入でき、1日3回各1カプセルを服用。約3か月で効果が見られます。
円形脱毛症治療
円形脱毛症は10円ハゲとも呼ばれ、ストレス等がきっかけとなり免疫機能に異常をきたすことが発症の原因と考えられています。
免疫反応を抑えるステロイド療法、人工的に皮膚をかぶれさせて免疫反応を起こさせる免疫局所療法等の治療方法があります。
ステロイド外用薬であれば10g1,000円とお手頃に始められ、ステロイド注射や免疫局所療法になると3,000~5,000円かかります。
いずれも効果が出るまでに3~6か月程かかります。
ヘアタトゥーで前向きな一歩を踏み出そう
ヘアタトゥーは、すぐに薄毛を隠したいという人におすすめの施術。
しかし、皮膚に傷をつけて色をつける行為であるため、できる人とできない人がいます。
後悔しないためにも、事前のチェックやカウンセリングを行うことが非常に重要です。
もしヘアタトゥーができない人は、ウィッグ等を活用するのも手です。
また、ヘアタトゥーは毛を生やすものではないため、根本的な治療も並行して行いましょう。
この記事の参考サイト
ミノキシジル(外用薬・塗り薬)とは?:Dクリニック
ヘアタトゥー(ヘアアートメイク)、どんな人におすすめ? 仕組みや注意点を解説:DMMオンラインクリニック
Tattoos: risks and complications, clinical and histopathological approach:Science Direct
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